[ ワトソン研究所の特別実験室 ]
チェン博士と天馬博士はワトソン研究所の最奥にある、厳重に電磁遮蔽された特別実験室に場所を移し、国防総省(DARPA)に提出する次なる報告書作成の検討に入った。
壁一面の大型ホログラフィックディスプレイには、かつてDARPAに提出した『引力・斥力境界解析テストレポート』のベースとなった斥力方程式『 t = 68X ± 51 』の殴り書きの数式があった。
チェン博士はホログラフィック・ペンを指先で弄びながら、いつもの不敵な笑みを浮かべてホワイトボードを振り返った。
チェン博士:“ ねえ、ドクター天馬。今回作成する報告書の論点整理を行う前に、ちょっと確認しておきたいんだけど。……前回の報告書で、ボクたちが『あえて書かなかったこと』があったでしょ。覚えてる? “
天馬博士は、組んでいた頑丈な腕をほどき、フームと鼻を鳴らしてボードの数式を睨みつけた。
天馬博士:“ 前回のレポート(WAT-2347-SJE-009)で、我々があえて国防総省の奴らに伏せた『不都合な真実』、あるいは『時期尚早としてカットした特異データ』のことだな、チェン博士! ……ウム、当然覚えているとも! “
天馬は顎をさすりながら、記憶の引き出しをひっくり返す。
天馬博士:“ あの時は、まずはDARPAの予算と信頼を勝ち取るのが最優先だったからな。奴ら軍人の貧弱な脳みそを混乱させないために、あえてブラックボックスのままレポートの底に沈めた要素がいくつかあったはずだ。私が記憶している限りでは、以下のどれか、あるいはすべてだと思うのだが……チェン博士、君が今『最大の論点』として引っ張り出そうとしているのは、一体どれだね? “
天馬は太い指を一本ずつ立てて見せた。
“ 一つは、離散距離 『X = 0』 ――つまり残滓座標への直接跳躍において、翠の量子センサーが捉えていた、数式にフィッティングしきれない不自然な『時空の揺らぎ(ノイズ)』の存在。
もう一つは、千葉・鋸山とタンザニア・オルドヴァイで引力有効射程に大きな差が出た理由。
第三番目に、颯凜君が明の時代から戻ったときと、我々が人工星アルビオンから戻ったとき、時空跳躍先での時間と、時空跳躍元での経過時間がずれた理由。
さあ、どれだ? “
チェン博士は、呆れたように小さく肩をすくめて息を吐いた。
チェン博士:“ 大外れ! あえて何も言わなかったのは、颯凜の持つ時空跳躍能力そのもののことよ “
天馬博士:“ こ、これは一本取られたな、チェン博士! 確かに言われてみればその通りだ。前回のレポートでは、彼を単なる『時空ナビゲーター』として扱い、我々が開発した時空アンカーと宝石エネルギーの数式に綺麗にフィッティングする『実験サンプル』として国防総省に報告したからな “
チェン博士:“ だって、そのことを正直に報告書に含めたら、彼らは颯凜の時空跳躍能力の『軍事利用』の方に、ボクたちの方程式より興味を惹かれるのが目に見えていたでしょ? “
チェンがホログラフィック・ペンでボードを小突く。
天馬はその言葉に、ハッと目を見開いて深く頷いた。
天馬博士:“ ま、全くもってその通りだ!国防総省のタカ派どもや政治家どもが、『人間一人を生身で任意の時間軸に送り込み、過去を改変できる能力』の存在を正確に知ったらどうなるか……! 我々の美しい斥力方程式などそっちのけで、彼を地下施設に監禁し、対敵国用の過去改変戦略兵器として徴用しようとしたに違いない。奴らは地球全体の危機よりも、他国に対して絶対的な時間的優位に立つことを優先する単細胞どもだからな。すべては彼を軍の魔の手から守るための、我々の愛のある隠蔽だった “
天馬はそこまで一気にまくし立てると、ふと声を潜めてチェンに顔を近づけた。
天馬博士:“ ……だが、チェン博士。今回提出する、最高機密(TOP SECRET)の追加調査報告書では、そのあえて伏せていた『颯凜の真の能力』を、奴らを説得するカードとして切る、ということだな? “
チェンの表情から、いつもの軽薄さが消え、冷徹な科学者の眼差しが戻る。
チェン博士:“ そうじゃないの。今回、アルゴスからいろいろ情報を得たことが、3000年の壁の正体解明のきっかけになったけど……。ボクは、月にいるアルゴスには一切触れないことにしようと思ってるの。でないと、今度も彼らは、我々の報告書を見て悩む前に、月にいるアルゴスの軍事利用の方に目が行くと思うから “
天馬は息を呑み、そして今度は静かに、深く得心したように頷いた。
天馬博士:“ ハッ……! ウ、ウム……! ま、全くもってその通りだ。月面のティコクレーターの地下にいる、303万年前の超高度文明を誇ったテラ・ミストラル人の超科学の結晶『アルゴス』。もし、この報告書にその名を一言でも書けば、国防総省のあの強欲なタカ派どもは『地球が滅びる前に、月へ行ってその超兵器を我が国のものにしろ!』と、狂喜乱舞するに違いない。これでは、本質的な議論に奴らの貧弱な脳みそを集中させることができん。よし、決まりだ。今回の報告書において、月にいるアルゴスの存在は完全にトップシークレットとして秘匿しよう “
天馬はホワイトボードの前に歩み寄り、ペンを握り直した。
天馬博士:“ となると、チェン博士。アルゴスから得た、あの『浸食の時空歪曲波形データ』を、我々はどのように偽装して報告書に盛り込むべきか、そこが次のロジックの肝になるな。奴ら軍人を完璧に信じ込ませるために、この絶対的脅威のデータを、我々が地球上で独自に観測・導き出したものとして処理しなければならん “
天馬はボードの余白に、滑らかなトポロジーの曲線をサッと描き出した。
天馬博士:“ 例えばこういうのはどうだ? 『我々が開発した時空アンカーの受信感度を極限まで高めた結果、西暦2347年現在の地球のバンアレン帯――あるいは超高層大気圏において、未来方向の西暦3000年の座標から漏れ聞こえてくる「時空の長周期微動」を検知した』というストーリーにする。つまり、3000年の壁の裏から漏れ伝わった、あの『風の声』を、まずは、我々のみが時空アンカーを使うことで発見できた最新観測ノイズとして報告するんだ “
チェン博士:“ それ、最高! “
チェン博士はパチンと指を鳴らした。
チェン博士:” さすがドクター天馬!じゃあ、そこから先はボクの提案ね “
チェンは天馬が描いた曲線の上に、いくつかの星系のホログラムを重ね合わせた。
チェン博士:“ 一番最近の、どこかの銀河の超新星爆発のデータがあるでしょ。あれと、実はどこかの銀河から漏れ出ていた『黒い浸食』による惑星消滅のデータを結び付けちゃうの。つまり、人類がこれまで観測してきた超新星爆発というのは、実際には星の寿命ではなく、『黒い浸食』に呑み込まれた結果の質量崩壊だったということを、ボクたちが『発見』したと報告するのよ “
天馬の目が、ぎらりと鋭く輝いた。
天馬博士:“ ヌウウ……! なるほど! オカルトではなく、近代天文学の観測データの裏に隠された物理現象として『黒い浸食』を定義するわけだな! 凄まじいペテン、いや、至高の論理構築だ! “
チェン博士:“ さらに続けるわよ “
チェンは不敵に笑う。
チェン博士:” その後の調査で、この『黒い浸食』は一種の『移動型ブラックホール』であることが判明したと書くの。そのブラックホールの進路にある星系が消滅してしまっている。……ただし、すべての星系が呑み込まれているわけじゃない、とね “
天馬博士はチェン博士の意図を察し、身震いするような興奮を覚えた。
天馬博士:“ ……すべての星系ではない。そこには明確な『選別基準』が存在するというロジックにする訳か? “
チェン博士:“ その通り。さらに調べた結果、文明が高度に発展するとともに、自分の住んでいる星や、周りの星を『環境汚染』している星系だけが、そのブラックホールに引き寄せられ、呑み込まれていると考えられる――そう報告書に明記するのよ “
それを聞いた天馬博士は、興奮のあまり立ち上がりざまに、大きな手のひらで ”パン!” と自分の頑丈な膝を力任せに叩き鳴らした。
天馬博士:“ 素晴らしいぞ、チェン博士! ならば、そのロジックを受けて、私が技術的な追い込みの文言を提案しよう! 『現在の予測では、西暦3000年にこのブラックホールが太陽系の地球に達する見込みである。さらに現在の地球環境の汚染だけでなく、人類が地球周辺の惑星へ有人宇宙船を派遣し、我々の汚染を地球以外にも持ち込もうとしている行為そのものが、ブラックホールのホーミングを加速させている。したがって、我々の星がブラックホールに呑み込まれる可能性は、現時点で98%である』と突きつけるのだ! “
チェン博士は目を丸くし、それから愉快そうにクスクスと笑った。
チェン博士:“ ワカッテルネー、ドクター天馬! アメリカファーストの連中が、いざとなったら自分たちだけ宇宙船で他の惑星に逃げようとしても、その一言で完全に退路を断てるわ! “
天馬博士:“ ウム! 『98%の絶滅』。軍人が最も恐怖する、防衛不可能な絶対的脅威の科学的数値だ。残された『2%』の生存確率を掴みたければ、今すぐ国家間のはりあいを止めて、軍事予算をすべて環境負荷の激減と時空の安定化に回せ――そうホワイトハウスに迫る、完璧な『脅迫状』の完成だな、チェン博士! “
2人の天才は顔を見合わせ、国防総省のタカ派どもが青ざめる顔を思い浮かべながら、不敵な笑みを交わした。この偽装された絶滅の方程式こそが、人類を救うための、彼らの最初の” 嘘 “だった。
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完成した報告書の表紙には、前回の『CONFIDENTIAL(機密)』を遥かに凌駕する、禍々しいほどの赤文字が印字されていた。
『TOP SECRET / EYES ONLY(国家最高機密・閲覧制限)』
『時空弾性係数の急崩壊モデル、および移動型時空特異点に関する緊急調査報告書』
ワトソン研究所から、国防総省、そしてホワイトハウスへと続く、人類の命運を賭けた「嘘と真実のドミノ倒し」が、ついにその最初の音を立てて倒れようとしていた。
[ドミノの第一打:ワトソン研究所内の特別査察官の部屋 ]
特別査察官:” ふざけるなッ! チェン博士、君は我々国防総省を、あるいはこの私を愚弄しているのか! ”
DARPAからワトソン研究所に派遣されている特別査察官、アーサー・マクマホン准将は、報告書をデスクに叩きつけ、顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。彼の背後には、二人の武装した憲兵が威圧するように立っている。
マクマホン准将:”移動型ブラックホール? 文明のエントロピーによる選別? 西暦3000年に地球消滅確率が98%だと!? 冗談も休み休み言え! 前回のレポートで時空跳躍の数式「t = 68X ± 51」は良識の範囲内だったが、今度のは、まるでSF小説のプロットではないか。予算の無駄遣いどころか国家反逆罪に値するぞ! “
だが、デスクの対面に深く腰掛けたチェン博士は、怯えるどころか、退屈そうに指先でリップクリームを弄んでいた。
チェン博士:” 相変わらず声が大きいわね、准将。軍人の脳みそって、理解できない高次元の数式を見ると、まず怒鳴るようにプログラムされてるの? “
マクマホン准将:” 何だと……っ!私は国家を守る責任がある。だからこそ、こんな話を簡単には信じられんのだ “
チェン博士:” いいから、そのタブレットの3ページ目を開いてみてよ “
チェン博士は、鋭くマクマホン准将を見据えた。
チェン博士:”これは、私たちが時空アンカーの受信感度を極限まで高めて、大気圏外のバンアレン帯で検知した『未来からの時空長周期微動』の最新データよ。それと、そっちの国防総省が誇る最新の軍事観測衛星『ヘリオスVII』が、先月から捉えている『高層大気の電磁気的異常ノイズ』の暗号ログを照合してみて “
マクマホン准将は、忌々しそうに手元の端末を操作した。チェン博士が提示した関数モデルと、軍の最高機密である衛星の生データが、画面上で少しの狂いもなく重なり合っていく。ノイズだと思われていた大気の揺らぎが、明確な「未来方向(西暦3000年)からの時空歪曲波形」として意味を持ち始めたのだ。
マクマホン准将:” な……これは…… “
マクマホン准将の顔から、急速に血の気が引いていく。
マクマホン准将:”なぜ、我が軍の最高機密のノイズを、君たちが…… “
チェン博士:” ボクたちは時空の専門家よ? “
チェン博士は不敵に微笑んだ。
チェン博士:”これは自然現象じゃない。西暦3000年にある『世界の終わり』の壁から、現代に向かって漏れ出してきている物理的な亀裂(ノイズ)よ。准将、私を不敬罪で刑務所に送る前に、その報告書を上層部に回した方がいいんじゃないですか? 地球の消滅を阻止できる可能性は、現状では2%しかないんですから “
マクマホン准将は、震える手で報告書を掴み直すと、背後の憲兵たちに「下がれ」と短く命じ、すぐにペンタゴンへの直通回線を開いた。
最初のドミノが、音を立てて倒れた。
[ 第二のドミノ:ペンタゴン(米国国防総省)地下戦略作戦室 ]
マクマホン准将の手を経てペンタゴンへと持ち込まれた報告書は、瞬く間に参謀本部のタカ派将官たちの間でパニックを引き起こした。
遮蔽された地下作戦室には、統合参謀本部議長をはじめとする軍のトップたちが集まり、チェン博士と天馬博士が仕掛けた「移動型ブラックホール」のロジックに釘付けになっていた。
ペンタゴン情報分析官:” ワトソン研究所から提出されたデータの検証が完了しました! “
情報分析官が悲鳴のような声を上げる。
ペンタゴン情報分析官:” 報告書にある通り、爆発の直前に『時空歪曲波形』が検出されていました! 自然な恒星の死ではありません……星系ごと、何者かに『呑み込まれた』質量崩壊の痕跡です! “
参謀本部の将官:“ 馬鹿な……。では、この報告書の記述はすべて事実だというのか! 高度に発達し、環境汚染を引き起こした星系だけが選別され、呑み込まれるというのは! “
初老の空軍大将が、青ざめた顔で拳を机に叩きつけた。
参謀本部の議長:” ならば、議論の余地はない!アメリカの選ばれたエリートだけでも、この太陽系から脱出させるのだ! “
これこそが、天馬博士が予期していた「アメリカファースト」の愚行だった。しかし、二人の天才が仕掛けた罠は、すでにその退路に強固な信管を植え付けてある。
参謀本部の将官:“議長! お待ちください、報告書の第5章、技術的補足の項目を! “
別の将官が、震える指で画面を拡大した。そこには、天馬博士が付け加えた冷徹な一文が、数式とともに赤く明滅していた。
――『警告:対象の時空特異点(移動型ブラックホール)は、環境汚染(局所的エントロピー激増)をホーミング(自動追尾)する特性を持つ。人類が現在の汚染負荷を維持したまま有人宇宙船を派遣し、地球外の惑星にその影響圏を拡大した場合、宇宙開発の推進そのものがブラックホールの移動速度を加速させ、人類の脱出座標を最優先で直撃する結果となる。逃亡による生存確率は0%である』――
参謀本部の議長:” 逃げても……無駄だと……? “
空軍大将は、開いた口が塞がらなくなった。
自分たちだけ宇宙船に乗って他の星へ逃げようが、そこで人類が文明の汚染を広げた瞬間、その座標に向かってブラックホールが方向転換し、真っ先に駆除しにやってくる。アメリカファーストの傲慢な退路は、科学的ロジックという名の鎖で完全に封じられたのだ。
参謀本部の将官:” 防衛不可能……迎撃不能……脱出不可能……。我々は、座して死を待つしかないというのか……! “
作戦室を支配したのは、軍人たちがかつて味わったことのない、圧倒的な「絶望」だった。
[翌日、ワトソン研究所のラボ ]
天馬博士は、ホログラムディスプレイに表示されたペンタゴンの暗号通信のトラフィック(通信量)が、異常なほど跳ね上がっているのを見て、豪快な笑みを漏らした。
天馬博士:” ガハハハハ! 見ろ、チェン博士! ペンタゴンの回線がパンク寸前だぞ! 奴ら今頃、宇宙へ逃げても真っ先に狙い撃ちされるという絶望の数式を見て、顔を真っ白にしているに違いない! “
チェン博士:” ボクの言った通りでしょ? “
チェン博士は椅子の上で足を組み、満足げに微笑んだ。
チェン博士:” あの軍人脳を動かすには、これくらい凶悪な理詰めが必要なのよ “
その時、チェンの個人端末が明滅した。暗号化された通信の主は、日本の公安、そして国連の裏で動いている影山だった。
チェンが通信を繋ぐと、スピーカーから影山の低く落ち着いた、しかしどこか緊迫感を含んだ声が響いた。
影山:” チェン博士、日本のNSS(国家安全保障局)の米国担当ラインから、今しがた耳寄りな情報を入手しました。あなたとドクター天馬が仕掛けたドミノが、ついにホワイトハウスの最上層部まで到達したようですね! “
チェン博士:” あら、影山さん。そっちの耳にももう届いたの? “
影山:“ はい。日本の米軍だけでは処理しきれない。国家安全保障に関わる脅威として、つい先ほど、大統領直属の緊急『国家安全保障会議(NSC)』の招集命令が下されたようです。……チェン博士、あなたをホワイトハウスのオーバル・オフィス(大統領執務室)へ招聘するという公式要請がまもなく届くと思います “
チェン博士と天馬博士は、一瞬だけ顔を見合わせた。自分たちの作った「偽りの報告書」が、世界最強の国家の最高意思決定機関を直接引っ張り出すことに成功したのだ。
チェン博士:” ワカッテルネー、大統領。ボクたちの絶滅方程式の恐ろしさが、伝わったってわけね」
チェン博士は椅子から立ち上がると、コートを羽織り、不敵な笑みを浮かべてリップクリームをポケットに収めた。
天馬博士:“ よーし、ドクター。私はここに残って、国連会議への理論武装をさらに固めよう。アメリカの利己的な連中が文句を言わせぬよう、全地球規模での環境負荷削減計画のバックデータを作り上げておく!」
チェン博士: “ 頼んだわよ、ドクター天馬。――私は、世界で一番偉いと思い込んでる最高権力者どもの脳みそを、文字通り特異点(ブラックホール)の恐怖で焚きつけに行くわ! “
まもなく、ワトソン研究所の屋上ハブに、ホワイトハウス直行の、大統領専用ヘリ(マリーンワン)の随伴機が、凄まじいローター音を立てて迎えにきた。
チェン博士が不敵な足取りで夜霧の中へと歩みを進める。
人類を救うための、二人の天才による「至高のペテン」は、いよいよホワイトハウス大統領執務室という、世界で最も危険な舞台へとエスカレートしようとしていた。
(第11話・完)

新谷隆之(構想・選定・推敲)/AIアシスト:Gemini & Claude(案出し・改稿提案)
テキスト著作権:© 新谷隆之
Story by Takayuki Shintani (concept, selection, revision)
with assistance from Gemini & Claude (ideation, alternatives).
Text © Takayuki Shintani.